SPAC公演『大人と子供によるハムレットマシーン』と『世界は踊る~ちいさな経済のものがたり~』で御一緒した、高校3年生の佐藤萌里さん、我々の間では愛称もげちゃんが、見事「詩のボクシング」前期全国大会で優勝したそうです! おめでとうございます! まずは記事をお読み下さい。可愛い写真付のやつをリンクします。
http://www.daily.co.jp/society/culture/2011/06/25/0004209156.shtml
この人のことは、昨年の関東大会で優勝したときに、一度このブログでも紹介しました。執念で、とうとう全国大会優勝を手に入れましたね。大したものです。
http://d.hatena.ne.jp/ooka/20100712
ちなみに、彼女が『世界は踊る』の稽古日記を書いてくれたことがあるんですが、これがまた、なかなかよい。
http://spac.or.jp/blog/?p=3808
私は日本各地で、文化・芸術を志す若者と接する機会があるわけですが、変な幻想を与えて人生狂わせちゃいかんなあ、とつくづく思い、きちんと就職しなさいよ、と忠告して回っているわけです。しかしこの人みたいな、別に私と出会っていなくても勝手に規格外の人生を選択し、力技で乗り切っていくであろう資質の持ち主は、こちらとしても妙な責任感など持たず、本音でおつきあいすればいいので、正直ありがたい。この人が関東大会優勝を獲得したとき、私は、自分の本業は「教育者」ではないということを、教えられたのですね。力のある人は、放っておいてもずんずん突き進んでいくわけで、そういう人材と一緒に何か面白いことをやる、そのためにエネルギーを投入する、それが自分の仕事だと自覚させられました。「教育者」はそれとは違って、その他大勢の面倒を見て、まっとうな社会人に育てることに、情熱持たなきゃいけないでしょう。近代社会を生きるためのルールを、暴力的に叩き込むのが仕事でしょう。尊敬に値する職務だと思いますが、それは私には、無理ですわ。月見の里学遊館の芸術監督を退任したのも、最も本質的な理由ってのは、そこらへんにあるんですわ。もちろん「浮世離れした芸術家」っていう凡庸なスタンスもとりたくないから、社会性の強い仕事は続けているけどもね。メインの職場は県立劇団だしね。お金を稼がないと生きていけないしね。ただその一方で、もっと縛りが少なくて、自分のカラーをはっきり打ち出せる創造活動をおこなう余地を、増やしたいと思ったわけです。そういう意味で、今年は原点回帰の年にしようと思ってるんだけど。
いかん、私の話ではなくて、もげちゃんの話だったよ。
ま、というわけだから、喪失感と閉塞感でいっぱいいっぱいの30代諸君や、自己愛と承認欲求でいっぱいいっぱいの20代諸君は、こういう人材に脅威を感じたまえよ。時間は確実に経過し、後輩は後から後から追ってきて、世界観を変化させていくんだぜ。君らも、グダグダしてると、あっという間におじさんおばさんだぜ。40歳過ぎて無名の表現者って、ちょっとみっともないぞ。って、そりゃアタシか! しまった!!
ところで、彼女が即興で詩を作って朗読するというのを、私はまだちゃんと聞いたことがないんだよな。大学決まったら、一緒にライブやりたいなあ。やりましょうよ。単独の表現者として立てる人間たちが、あえて複数でコラボして表現を試みるところに、舞台の醍醐味があると、私は思うんだよね。例えば、お互いが書いた詩を、交換して朗読するとか、面白そうじゃん。ってこれ、メールでやりとりすべきことか(笑)。