大岡淳の初の編著となる、『21世紀のマダム・エドワルダ』が、光文社より刊行されました! ぜひ、お買い求め下さい。まずは表紙と目次を紹介します。

21世紀のマダム・エドワルダ

定価1900円+税
ISBN 978-4-334-97820-4

プロローグ    
1 バタイユ論 バタイユはファシストとどう違うのか 宇波彰
2 危機論 希望への想像力を獲得するために 大澤真幸
3 ファシズム論 国民国家が崩壊するとき 片山杜秀
4 エロス論 すべてはここから始まる ブブ・ド・ラ・マドレーヌ/仲野麻紀
5 全体性論 「われわれ」はどこに向かっているのか 宮台真司
6 文学論 人間の限界を超えること 中条省平
7 女神を待ちながら ――ジョルジュ・バタイユの戦争―― 大岡淳

この本は、2013年3月に演出した、江戸糸あやつり人形座公演『マダム・エドワルダ ~君と俺との唯物論~』という人形芝居に併設した終演後トークセッションの記録に、中条省平氏と大岡の書き下ろし論考を加えて1冊としたものです。トークセッションのゲストには、哲学者の宇波彰氏、社会学者の大澤真幸氏、政治学者の片山杜秀氏、アーティストのブブ・ド・ラ・マドレーヌ氏、サックス奏者の仲野麻紀氏、そして、社会学者の宮台真司氏という、豪華な面々を集めました。

この人形芝居は、フランスの思想家ジョルジュ・バタイユが戦時下で執筆した短編小説『マダム・エドワルダ』を原作としたものですので、本書と合わせて、ジョルジュ・バタイユ著/中条省平訳『マダム・エドワルダ/目玉の話』(光文社古典新訳文庫)も、一読されることをおすすめします。

で、この人形芝居の後を受けたトークセッションでは、バタイユの思想を媒介としつつ、現代日本社会を多角的に解剖する議論が展開されました。全体を通したテーマはずばり「気分はもうファシズム、か?!」といったところでして、当代一流の多彩な論客たちが、大岡の投げかける共通のお題に対してどのようなレスポンスを示したかが、本書の見どころとなっております。

写真家・荒川健一さん撮影による、人形芝居の舞台写真も多数掲載されておりまして、フランス文学やフランス現代思想、ファシズムやエロティシズム、演劇や人形劇などなど、様々な関心に応えうる内容に仕上がっていると思います。

大岡が、自分の責任で単行本を仕上げて世に問うのはこれが初めてなのですが、我ながら、理想的な本ができました。かつて浅田彰が『逃走論』についてだったか、「雑多な本を作ってみたかった」と言ってましたけれども、80年代サブカル小僧であった私も昔から「雑多な本」に魅力を感じておりまして、例えば、坂本龍一の「本本堂」プロデュースとか、朝日出版社の「週刊本」シリーズとか、大好物でした。そこへいくとこの『21世紀のマダム・エドワルダ』は、思想の本でもあれば芸術の本でもあり政治の本でもあり、様々な知識人やアーティストが参加してもいるわけですから、存分に私のカラーを打ち出した「雑多な本」ではないかと思います。

このような本に仕上がったのは、そもそも、『マダム・エドワルダ』という人形芝居への私の関わりが、毎度毎度の自分らしいスタイルによるものだったからでしょう。「演劇を運動として成立させる」というアングラな初心を私は今も大事にしており、単にお芝居を演出するだけではなく、様々な才能を巻き込んで「運動」的な場を組織し、その「運動」を波及させることを集客の軸にする、というスタイルを基本にしておりまして。これを、江戸糸あやつり人形座というカンパニーからの依頼で演出を引き受けた際も貫徹したため、それをそのまま活字に移せば「雑多な本」になっちゃった、ということだと思います。べつだん、本にすることを企んで有名な論客を集めたわけではなく、バタイユについてこの人と話をしてみたい!という知人たちにトーク出演をお願いしたら皆さん快諾してくれたということでして、その点もいつも通りではありました。ふりかえれば、私は学生時代からこんな「やることに意義あり」的イベントを延々としかけ続けており、さすがに20年以上やっていると、少しは売り物になってきたのかもしれません。でも裏返せば、全く妥協も迎合もしていない企画ではありまして、そんなものを快く書籍化して下さった光文社古典新訳文庫の皆さんに、心から感謝申し上げます。

余談ですが、80年代に、筒井康隆大一座『ジーザス・クライスト・トリックスター』というお芝居の記録本が2つ出まして、ひとつは『スターログ』の別冊みたいな感じで、ツルモトルーム出版局から出たんですが、こっちは、戯曲と舞台写真とひさうちみちおのマンガで構成されていて、非常に面白かったんですな。その後でもうひとつ、戯曲と舞台の立体模型と舞台音声を収録したカセットテープをセットにして、同じお芝居を記録した本が別の出版社から出たんですが、実際の舞台の再現性が強いのはこっちなのに、なぜか面白くなかった。そこでひとつ気がついたのは、舞台ってのは、結構イマジネーションを働かせながら楽しむものだから、別のメディアに置き換える場合、迂闊に再現性が強いと却ってイマジネーションが損なわれて失敗する、ということですね。なので私の本でも、『マダム・エドワルダ』というお芝居の紹介は、あえて写真と文章のみにとどめるという、アナログなスタイルにしてみた次第です。

ということで、サービス精神てんこ盛り、大岡初の編著を御購入いただき、お楽しみいただければ幸いです! また、刊行記念イベントも開催します。近日中に当サイトにて告知しますので、こちらもお楽しみに。

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