なぜ菅直人が小沢一郎に圧勝したのか?


菅直人圧勝とは、予想を裏切られました。その意味について考えなければですね。選挙自体に不正があったのではないかとの噂もありますが、だとしたら、ただちに政局が流動化するでしょうから、とりあえずこの疑惑はスルーで考えます。

まず、菅直人の総理続投でどうなるか、ですが。

・消費税は、もちろん増税(10%以上か?)。

・法人税は、もちろん減税(雇用には影響なし)。

・円高は、もちろん放置(グローバル化=産業空洞化を促進)。

・普天間基地は、もちろん辺野古へ(これだけが不安定要因)。

・郵政民営化は、もちろん断行(合衆国へ献上し、国民新党が政権離脱)。

といったところでしょう。貧乏人には何一ついいことがなく、ただひたすら財政再建、対米追従ですね。国債暴落だけは防ぐってことで、お金持ちは一安心でしょうけれども。

さて、民主党の議員・党員・サポーターの過半が菅直人に投票したことを、どのように解釈すればよいのでしょうか。今回、私は見逃していましたが、連合がふたつに割れた、というのが最大のポイントだったのですな。ここから言えるのは、つまり正社員層が保守化した、と。消費税が上がっても構わないから法人税は下げてもらって、なんとか会社にはグローバル化に適応して生き残ってもらわねば、と連合組合員=正社員たちの過半は考え、菅直人に投票した、もしくは、菅支持の声を議員に伝えたのでしょう。労組に組織化されているような、会社に骨を埋めると決めている正社員たちは、契約社員だの派遣社員だのフリーターだの、非正規雇用者の損得は無視して、労使協調を選択したということなんでしょうな。つまり今回の代表選が意味するものは、正規雇用者と非正規雇用者との階級分断に他なりません。あるいは、小沢氏が農家への所得補償を進めたことを考えると、都市と地方との利害対立が、依然として続いているということかもしれません。2月革命の後にブルジョアが労働者・農民を切り捨てた、という現象と似ていますね。

そう考えると、いまどき正社員って、特権階級なんですね。この点、見落としていました。一方、非正規雇用者は互いがライバルであるため組織化されにくく、政治的には支持政党を持たない浮動票であり続け、自分より貧しい人々を蔑視して精神的な不安を糊塗しようとするため却って福祉政策を忌避する傾向があり、結果としてマスコミに最も扇動されやすいB層になってしまう――この層が今後、自民党やみんなの党を支持していくとすれば、もはや小泉構造改革に敵対する党派は、政治的に無力な弱小勢力に過ぎないということになりますね。第1次産業が衰退し、第2次産業がグローバル化し、第3次産業は軒並み劣悪な労働条件を強いる「ブラック会社」化していくのが日本経済の現状で、正規雇用者も非正規雇用者も「お金ならいくらでもあげるからアタシを捨てないで」と合衆国に抱きついている。これを何と形容すべきか。植民地、属国を通り越して「愛人国家」とでも呼びたいところですな。家畜人ヤプーですなあ。

さて、小沢一郎氏は、構造改革に敵対する勢力を一つに糾合し、台風の目になり続けるのかどうか。それは、19・20世紀型の「国民経済」を復興して、グローバル化を一定程度抑制し、非正規雇用者や貧困層を手当てし、社会的安定を保障し「持続可能」な経済を実現する、積極的な政治理念を掲げることができるかどうか、にかかっているでしょうな。小沢氏は今こそ『新・日本改造計画』を執筆し、あの「小沢コール」に応えるべきでしょう。

そして日本経済が、BRICS市場への参入を強化し、米国市場に頼らずともカツカツ食えるという日が来れば、政治情勢は一変しているはずですが。しかし、このまま小泉構造改革を推進し、少子化を放置して、移民労働者を受け入れ、マネロン金融国家なんか目指しちゃうとなると、日本という国家そのものが消滅するでしょう。