次の日曜日の13時から、月見の里学遊館で、月見の里自由大学「誰もが自己表現できる時代に、アーティストに残された役割とは?」と題したシンポジウムをおこないます。まず、以下のコンセプトをお読み下さい。

〈芸術〉は、敷居が高い?

〈芸術〉は、知識がないと理解できない?

〈芸術〉は、天才だけが担うもの?

でも、今は〈自己表現〉の時代。プロの芸術家に負けない作品を、プロではない普通の人々が、創造したり、発表したり、インターネットを通して世界に発信したりすることが、あたりまえになりました。

例えば、音楽。近代に入って、音楽を、貴族・宮廷の愛玩物から、市民によって鑑賞される〈芸術〉へと解放したのは、ベートーヴェンでした。ところが今や音楽は、お稽古事で習ったり、i-podで持ち運んだり、カラオケで歌ったりして、〈芸術〉というより〈娯楽〉や〈趣味〉と呼ぶ方が相応しいでしょう。

月見の里学遊館でも、プロの芸術家を招聘する公演と、プロではない人々が創作を体験するワークショップとを、主催事業の二本柱としています。

では、今はその2つが並んでいる時代だとして、21世紀の〈芸術〉は、これからどこに向かうのでしょう?

普通の人々に〈表現〉のツールとして活用され、生活の中に溶け込んでゆくのでしょうか?

それとも、プロだけが担いうる〈芸術〉としての役割が、復活するのでしょうか?

そしてそのとき、私たちの日々の営みは、どう変化するのでしょう?

さあ、未来を切り拓くために、考えてみましょう!

パネリストとしてお招きしたのはお二方。まず、音楽プロデューサーの平井洋さん。サイトはこちら。ブログはこちらです。

平井さんは静岡のご出身で、様々な音楽イベントのプロデュース、演奏家のマネジメント、音楽に関する執筆に携わっておられます。近年では「仙台クラシックフェスティバル」の成功が、音楽業界で話題となっています。

次に、名古屋芸術大学、河合塾トライデントデザイン専門学校で非常勤講師を務めておられる、大野左紀子さん。ブログはこちら

大野さんは、もともとは現代美術家でいらしたのですがこれを「廃業」され、「そもそもなぜみんなアーティストをやりたくなっちゃうのか?」をネチネチと(笑)分析された『アーティスト症候群』(明治書院)という、大変愉快な著作を執筆されました。また、最新刊『「女」が邪魔をする』(光文社)など、ジェンダーに関した執筆でも活躍されています。

おわかりの通り、今回はあえて音楽畑、美術畑からパネリストを招聘し、特定ジャンルにこだわらず、話がとっちらかるのを覚悟の上で、「今この社会で何が起きているのか」を深く面白く多角的に解剖するようなシンポジウムに挑戦しようと思います。こんな企画をやれるのは日本中で月見の里学遊館だけでしょう。

そして、シンポジウム終了後は、ウェールズ弦楽四重奏団によるコンサートが開催されます。芸術の存在意義を問い返した後で、あえてベタなクラシックを楽しむのも一興かと思われます。ぜひお越し下さい!