昨年、江戸糸あやつり人形座+普通劇場でプロデュースしたイベント『ジョルジュ・バタイユ降霊祭』で予告しました通り、いよいよ来る3月、江戸糸あやつり人形座にゲスト演出家として参加し、バタイユの短編ポルノ小説『マダム・エドワルダ』を上演いたします。神なき時代、ナチス占領下のパリで、街をさまようインテリ男性が、売春宿で出会った娼婦に神を見出すというお話。至高なるものを宿らせる極小の共同体を結成することで、ファシズムへの思想的抵抗を試みながら、挫折に挫折を重ねたバタイユが、敗北の果てに辿りついた心象を、戦争体制へ突き進む現代日本に蘇らせようと思います。政治と官能が絡み合う禁断の人形劇に、どうぞお越し下さい……。
公演の目玉は、盛りだくさん!
●光文社古典新訳文庫『マダム・エドワルダ/目玉の話』に収録されている、フランス文学者・中条省平さんの翻訳をテキストとして使います。
●dumb-typeの伝説の公演『S/N』に出演されたパフォーマーであり、現代美術作家として活躍しておられる、ブブ・ド・ラ・マドレーヌさんに、人形デザインをお願いしました。フランス映画に登場しそうな人形たちが、あなたをゾクゾクさせること請け合いです。
●そのデザインから、人形作家・北井あけみさんが製作された手あやつり人形を、独自の幻想的世界を造形し、人形劇シーンをリードする人形遣い・黒谷都さんが操作します。江戸糸あやつり人形座の面々による糸あやつりと、黒谷さんの手あやつりが共演する、人形劇史上の事件(!?)を目撃していただくことができるでしょう。
●出演俳優として、ク・ナウカやSPACの公演でおなじみの美加理さんと、メガロシアターを主宰する演出家・劇作家であり、小鼓の奏者でもある今井尋也さんを迎えました。人形たちといったいどんな共演を果たすのか、乞う御期待。
●音楽は、大岡演出ではおなじみ、コントラバス奏者・河崎純さん。過日、トルコの振付家アイディン・テキャルさんとのコラボにより、演奏と舞踊を融合させたソロ・パフォーマンス『db-ll-base』日本公演により話題を呼んだところです。今回は、コントラバス奏者の服部将典さんにも御出演いただき、コントラバス2台による演奏に挑戦します。
●現代美術家の加治瑞穂さんに美術・照明を、写真家・荒川健一さんに、人形たちと人間たちの撮影をお願いしています。
●「バタイユをめぐる6講+1」と題し、多彩な論客を招いた終演後トークセッションを開催します。ドゥルーズ=ガタリやボートリヤールの翻訳で知られ、現代思想をめぐる刺激的な論考を展開してこられた哲学者・評論家の宇波彰さん。いずれも気鋭の社会学者として、アカデミズムの枠にとどまらず八面六臂の大活躍をしておられる、宮台真司さん、大澤真幸さん。先頃も『国の死に方』(新潮新書)を上梓され、音楽評論家としても人気を博する片山杜秀さん。そして、人形デザインを担当していただいている現代美術家のブブ・ド・ラ・マドレーヌさん、「ジョルジュ・バタイユ降霊祭」に出演していただいた、サックス奏者の仲野麻紀さんらが登場します。ミニライブもあります。最終日は、出演者である糸あやつりの結城一糸さん、手づかいの黒谷都さん、人形作家の北井あけみさんが、トークゲストとして登場します。
チケット発売中です。日程は3月20日から24日、会場はザムザ阿佐谷です。詳細は、江戸糸あやつり人形座『マダム・エドワルダ 君と俺との唯物論』特設サイトを御覧下さい。バタイユに惹かれて結集したアーティストの祭典を、どうぞお見逃しなく!!