相変わらずフランスです。三が日は稽古がオフなので、この間に色々仕事しなきゃいけないんですが、どうもやる気が起きません。元旦くらい休もうということで、のんびり読書して過ごしました。この日記は元旦の夜に書いています。

毎年、メール年賀状に世界情勢分析を書いたりしていたんですが、はてなを再開しましたので、年頭に書くべきことはこちらに書いてしまおうと思います。

で、今年の抱負でも考えてみようか、なんて思ったんですが、でも仕事に関しては、今年やることなんてのはもう全部決まっちゃってるわけです。特に行政に近い場所で働いていると、単年度会計で物事が進んでおり、前年度の10~11月にはだいたいの予定が決まります。せわしないですが、仕事があるだけありがたい、と考えるべきなのでしょう。ちなみに、4月以降はいよいよ東京の住居を引き払います。これに伴い、桐朋短大の非常勤講師を辞めることになりました(できれば音楽専攻の方には残りたかったんですが、時間割の都合から言って難しいようです)。このご時世で収入がガタンと減るのは恐ろしいのですが、支出も同時に減るので、生活水準はそんなに変えずに済むはずだよな……なんてことを考える今日この頃です。河合塾COSMOは、時間割を整理してなんとか継続することにしました。正直言って、ここがいちばん辞めたくない職場ですし、できればCOSMOが消えてなくなるまでは居座りたいところです。ただ、ちょっと授業の進め方がマンネリになりつつあるので、そろそろまたやりかたを変えなきゃいけないという気がしていますが。現代文講師のくせに、なにしろ現代文が大の苦手なのですよ私は(笑)。

ということで、今年もSPACや学遊館で色々頑張りますし、イレギュラーな仕事でいくつか面白いものも用意しています。もうちょい目鼻がついたところで、またここで告知しますので、大岡の仕事に関心を持って下さっている皆さんは、ちょいちょいアクセスしていただけると幸いです。

桐朋を辞め東京の住居を引き払うのは、あまりに勉強する時間がなくなってしまったからです。30代いっぱいは、20代に遊び呆けていた余禄で食えたのです。しかしもう今年は40歳になりますし、いくらなんでもそろそろインプットして蓄積を増やしていかないと、ここから先この調子でアウトプットばかりしていたら出涸らしになってしまうのが目に見えていますので。月に休みが1日2日しかない、という生活はそろそろ止めにしたいと思っています。

で、今年の抱負ですが、こんなことを考えたのは生まれて初めてのことですけど、今年はちゃんと「演劇」について勉強しようかと思っています(爆)。演出については、パスカル・ランベールの稽古場で本当に多くを学んでいるので、せっかくだからこの機会に、「演劇」の歴史やら、本質やら、機能やらについても、まとめて勉強しちゃおうかと。

でも基本的に私は、「演劇」そのものは別にどうでもよいのです。10代後半から20代後半までの貴重な時間を本気で「演劇」に捧げてしまいましたから、他の業種で働けなくなったというだけで、それはもう、世間知らずのお嬢さんが悪い男に騙されて、気がついたら女房になっちまったというような、よくある話といえばよくある話だと思うのです。30歳を過ぎたら少し自立できて目が覚め、また、器量が衰えたから亭主も滅多に家に帰ってこなくなったので、悪い亭主のことは考えないようにしていたんですが、40歳になろうという今、改めてなんでこんな男と一緒になっちまったのかを、もう一度冷静に考え直してみたいと。そして、こんな悪い男でも世の中の役に立っているのだとしたら、いったいその役割って何なのさ、ということを、問い直してみようと思います。

しかし「演劇」やら何やらは、私にとってはやっぱり手段のひとつでしかないのです。最終的には、そういう様々な手段を通して、日本社会が、現在のような斜陽の老人大国ではなく、もう少し風通しのよい、自由闊達な、活力あふれる社会に生まれかわることを目指していきたいと思ってます。

今年は、副島隆彦先生の予想では、米国発の金融危機が、ついに米国債・米ドル暴落へと連鎖する通貨危機の年になるそうです。この年度末は、どちらの業界も補正予算で一息ついておられると思いますが、年度が変わったらまた苦しい状況になりそうですね。政治的には米国から中国へと覇権が移る過渡期で、いわゆるG2体制が世界をリードするのでしょう。日本のように米国依存でやってきた国にとっては、じわじわと方針転換を遂げていかねばならない時期であり、そのために国民は民主党を勝たせたと言ってもよい。しかし、中国を含めてアジア各国の経済も米国という「最終消費者」がいるおかげで伸張してきたわけで、米国の一般大衆が旺盛な消費意欲を回復してくれないと、景気はよくならないという説もあります。それもそうでしょうが、大量生産・大量消費に依存する経済システムそのものを見直そうという文明史的な観点も無視できませんね。前者の立場でいけば、日本は第二次産業+第三次産業で高付加価値を生み出す競争力をつけるべきだとなりますし、後者の立場でいけば、内需を拡大し、食料の輸入依存を解消すべく、国策として第一次産業の規模を拡大すべきだとなります。現実的には前者でいくしかないですけどね。少子高齢化の下で内需が拡大するわけがないですから。

ところで、急に変なことを言いますが、国家ってものに適正規模はないんですかね? 老子は「小国寡民」といいましたけど、米国も中国もロシアも、複数の国家に分割して、それぞれで頑張るって方がうまくいきそうな気がしますが(笑)。

私個人としては、東海地方はまだ恵まれていますけど、「地場産業」ってものが空洞化しつつあることが、今の地方の最大の問題だと思うのですね。政治家やお役人は「地方の特色を活かして経済活性化を」なんて簡単に言いますけど、今の世の中ではそれは即ち、ただちに世界市場に進出できるってこととイコールでしょう。つまり、ローカルとグローバルを接合できる才能が必要である。じゃあそういう才能を持ったイノベーターを育成するための文化的土壌をどう作るか、ということが、現在私などが背負っている課題だと思ってますね。まあこれは前から言っていることですけどね。今年は、本格的に静岡県内を動き回って、色々な人に会ってお話を聞き、自分にできることを考えてみたいと思ってます。

なんだかとりとめがなかったですが、今年もよろしくお願いいたします。