こんな暑苦しい日に京王線に乗れるか!ということで、今日もまたタクシー通勤。片道3000円。

1限「身体表現法」。先週に続きモーション・ポエトリーの創作。モチーフは、岩田宏の詩「いやな唄」と、石原吉郎の詩「信仰と貿易」。こういうエチュードは、話し合いは早めに切り上げ、動きながら内容を固めたチームの方が出来がいい。ようやく「身体の動きで表現する」ことにみんな慣れてきた感じだが、この講義も来週で最終回である。来年も依頼がきたら、もっとスムースに進行できるようにしよう。

2限「日本演劇史(現代)」。80年代・90年代の小劇場演劇シーンを1時間半で語るなどということがどだい無理なのだし、どのみち今日は最終回だし……ということで、つい誘惑に負けて雑談を連発してしまった。そんなことをしている余裕はなかったのに! あああああああっ、なにやってんだ私は!!

深く自己嫌悪に陥りつつ、仙川の大学から、川越の大学に移動。こんな暑苦しい午後に学バスに乗れるか!ということで、タクシーで移動。片道1000円。

4限・5限「文章表現法」。相変わらず私が説明をしていると居眠りが出てしまうが、しかし私語はずいぶんと収まりつつあるし、文章を執筆する作業はみんなきちんとやっている。めきめきと文章力を向上させている学生も数名見受けられる。正直4月の開講時はどうなることかと思ったが、今日は、効果があがっていることをようやく確信できた。粘った甲斐があったのかもしれない。仙川で落ち込んだ気分が少し晴れた。

もっとも、ここに至るまでの道のりは決して容易ではなかった。クラスの雰囲気を良くするために、私はまずカードリーダーによる出欠管理に加えて、この大学では他の講師は誰もやっていないと思うが、わざわざ口頭で出席をとるようにした。さらに、ちょっとした秘策を用いて学生諸君の名前を片端から覚え、講義中に「そこの君」などと言わず彼らの名前を呼ぶように心がけている。簡単な工夫に過ぎないが、これだけでも雰囲気は変わるだろうと計算したのは正解だった。ちなみに、こういう発想を伝授してくれたのは、大村はま先生の感動的な著作『教室をいきいきと1・2』(ちくま文庫)である。

それから今日は、テキストに「マルクス主義経済学うんぬん」と出ていたので、「君らは、自分のアルバイトの時給がなぜ800円なのか考えたことがあるかい?」という導入から始めて、「労働力」「搾取」「生産手段」「資本」など、マル経のエッセンスについてわかりやすく解説(って、これは私の十八番の一つなんだけど)。この話はいつになく食いつきが良かった。アルバイトというのは、彼らにとって実社会と接する数少ないチャンネルの一つなのかもしれない。このあたりに、彼らを社会科学的思考に誘導する糸口があるように思う。後期のテキスト作成のヒントとしよう。