「からゆきさん」を観る。


桐朋学園芸術短大・専攻科演劇専攻A・試演会「からゆきさん」を観に、大学の小劇場へ。演出は越光照文。

「からゆきさん」は、宮本研の戯曲である。日露戦争の前後、インドネシアに生きる日本人娼婦=「からゆきさん」たちが、国家権力に翻弄され、ついに棄民となって国境を越えるまでを描く重厚な作品。俳優諸君はなかなか健闘しており、3時間を一気に見せる力量は買える。越光先生の優れた指導力を見る思いであった。ただ、これは好みの問題かもしれないが、全体に湿っぽいタッチであるのは如何なものか。娼館の経営者である悪漢・多賀次郎が切腹しようとして果たせない終幕など、もっと滑稽で、そして滑稽ゆえに元気が出る演出で見せてほしかったという気もするのだが。しかし、新劇のスキルというのはいつ見ても圧倒させられるところがある。越光先生の演出も、骨格は実にしっかりしている。今も俳優にとって「基礎力」となるのは、やはり新劇の戯曲を演じることなのだなあと感じた。

バスに乗って吉祥寺に戻ったら、駅前で菅直人が演説していた。最近は農業問題に携わっているそうである。彼の年金未納疑惑は、本人の責任は皆無であるだけにちょっと気の毒だなと思ったが、事実の如何に関わらず動いてしまうのが政治なのだろう。過酷なものである。