学校の先生は、夏休みとか冬休みとか、長期休暇を取れるのが役得だと思っている人は、既に時代遅れである。今や構造改革の時代で、税金の無駄遣いは許されないのである。勤務実態がないのにお給料を払うわけにはいかないのである。従って、公立の学校の先生は、今は夏休みも冬休みも毎日学校に来ているのである! 長いお休みがほしければ、サラリーマンと同様に有給休暇を取るしかないのである。

そして私ら公立高校の非常勤講師もまた、授業のない日も当然ながら学校に赴き、授業時間の分だけ机の前に座っていなければならない。昨日の藤沢総合高校は体育祭だったし、今日の横浜青陵高校は試験期間中で、私は何もやることがないのだが、学校に行って判子を押して、2時間潰さねばならない。

昨日は、体育祭で職員室にいるのは、非常勤の数学の先生と私の2人だけ。パソコンルームで内職をしていたのだが、途中で居眠りをしてしまった。今日は、また内職をしようと思ったのだが、照明機材の入札に備えたミーティングがあったので、あれこれ注文を出しているうちに時間が過ぎて、まだしもまともな時間の過ごし方ではあった。

やることがないなら、お金は要らないからその日は学校に行かなくていいようにしてほしいと思いもするのだが、では公立高校の非常勤講師はいくら報酬を貰っているか。私の場合1校あたり、週2コマ×4=月8コマ(1コマは50分)で、税込み26800円である。つまり、所得税を引けば、1コマあたり3000円ちょっとしかもらっていないことになる。これって、大学生の家庭教師バイトの時給より安いくらいではないか。しかも、わずか2時間といえどその2時間のおかげで午後は丸々潰れたりするわけだから、能率が悪いことこの上ない。私は、お金を稼ぐ場所は他にあるから、高校の仕事は半ばボランティアのつもりでやっているが、常勤の先生になりたくて順番待ちをしている非常勤の先生たちは、本当に大変だろう。私ひとりが「お金は要らないから拘束はしないでね」と言い出せない道理である。

一方、これが私立の学校なら、学習指導要領が命ずる授業内容3割削減は無視できるし、そのぶん夏休みは先生たちもゆっくり休めるし、それでいて給与は公立を上回るし、これで公立と私立の学力格差が開かない方がおかしいのだ。国民が小泉構造改革を支持した結果だが、その当の国民はといえば、子供を公立に通わせると学力が下がるんじゃないかと不安になり、富裕層はさらに教育費を増加させ、私立中学入試に挑む子供の数は増えているという。つまり国民は、わざわざ手間もお金もかかり、下手すると自分に不利になる政治的選択をおこなったことになるが、これも「勝ち組」幻想にたぶらかされた故であろうか。

いやもちろんこの不景気の折、役人や教師や土建屋に対して「ムダ飯食わせる余裕はないぞ!」と恫喝してガス抜きする、サラリーマン諸君の気持ちもわからないではないのだ。財政が破綻して痛み分けなんていう事態は、誰しも避けたいところではあるし。しかしそれなら、あのサマワの給水活動というのはどうだ。採算を無視して高速道路を作ることが問題なら、あの給水活動もまた大問題ではないのか。復興支援にバランスシートは要らないのか。「テロとの闘い」ならOKか。そこで思いついたのだが、道路公団の諸君は、辻褄の合わない数字は全部「安全管理費」で計上すればいいのだ。もちろん名目は「テロとの闘い」だ。これなら、どこからも文句は来ない。郵便局の諸君も「私たちは、個人情報保護のプロフェッショナルです」とかCM打てばいいのだ。小泉は絶句するだろう。