本日11月23日(月)まで、月見の里学遊館で、「進化する書の世界 大杉弘子/杜甫の飲中八仙歌を書く」と題し、袋井在住の書家・大杉弘子先生が絹に「飲中八仙歌」を書いた、壮麗なインスタレーションが展示されております。これは、袋井出身の書家・川村驥山の没後40周年を記念したものです。チラシに掲載されている、大岡による紹介文を引用します。

 

袋井が生んだ書聖・川村驥山。その代表作「飲中八仙歌」からインスパイアされた、書を用いたインスタレーションを、やはり袋井が生んだ先鋭な現代書家・大杉弘子さんが制作し、月見の里学遊館に出現させる。袋井という土地で、書という芸術を介し、過去と現在が邂逅する劇的な瞬間である。この祝祭を寿ぐべく、演劇という言語芸術の担い手である私は、グラフィック・デザイナー川邉雄と共にデジタルな“書”の作品を制作して、大杉版「飲中八仙歌」の空間を飾ってみたいと思う。驥山をリスペクトする現代アーティストたちの共演=饗宴。ふらりと立ち寄って、あなたもひととき知的な酩酊を経験されては如何だろうか?

月見の里学遊館芸術監督 大岡 淳

 

というわけで大岡も、極左TシャツブランドRLL(Radical Left Laughter)のメンバーとして活躍するグラフィックデザイナー、インテリパンクこと川邉雄さんとのコラボで、「Songs of 8 Outsiders ―デジタル・タイポグラフィによって飲中八仙歌を書く―」と題した作品を出品しました。大岡が「飲中八仙歌」を現代的にリメイクしたテキストを執筆し、これを川邉さんデザインのTシャツにしてもらって、現代美術家・村松正之さんに展示していただきました。近年私が手がけた中でいちばんぶっ飛んだ仕事になっています。酒井法子にエールを送る気持ちで書きました。気が向いたらテキストの内容を公開しますね。

 

さて、昨日、SPACで開催していた「SPAC俳優による朗読とピアノの午後」シリーズの全日程が終了いたしました。おかげさまで多くのお客様がリピーターとなって何度も通って下さり、感謝感謝であります。また、ピアノを担当して下さった吉田イツコさん、渡会美帆さん、塩崎美幸さん、本当にお世話になりました。ありがとうございました。

うちの俳優さんたちがテキストを選び、ピアニストさんたちとコラボして仕上げたパフォーマンス(単なる朗読と演奏のカップリングではなく、極めてシアトリカルな「朗読劇」という趣)でして、大岡は仕上げの段階で現場に入り、構成と演出のお手伝いをしました。

このサイトを御覧の方々はご存知の通り、私はこれまでに、何本ものリーディング作品を、演出・出演して創ってきたわけです。台詞を暗記するのが苦手ということと、安上がりでできるということと、ふたつの理由が重なった結果でありますが、その経験が今回ほど役に立ったことはありません。大師高校で上演した『桜の森の満開の下』、神奈川県民ギャラリーで上演した『ズボンをはいた雲』、ココリス設立記念パーティで上演した『私は海をだきしめていたい』、横浜リーディングコレクションで上演した『セロ弾きのゴーシュ』、そして先日Mixiniaで上演したばかりの『六白金星』等々、あんまり意識していませんでしたけど結構な量でして、実に多くの教訓を得ていたことに気づきました。

大岡がSPACの俳優さんを演出するのは初めてのことだったので、非常に緊張しましたけど、でも要所要所でアイデアを出しましたし、短期間でしたが稽古もしっかりやりましたし、それなりにいい仕事ができたんじゃないかと自負しております。

「SPAC俳優による朗読とピアノの午後」は来年度も開催する予定です。どうぞお楽しみに。