フリーターから自営業者へ!なんつって。


つくづく思いますが、もう20年も不景気が続いているんですな。00年代に入って一度持ち直したなんていいましたけど、あれだって一部の法人が業績を回復しただけで、庶民がおこぼれに与る前に好景気は終わってしまいましたな。

私は、就職氷河期第一世代なので、いちおうバブルの頃の風潮も知っています。「サラリーマンで一生終わりたくない」なんていう台詞が普通に飛び交っていましたから、今みたいに「正社員は特権階級」という時代になってみると、隔世の感があります。まあ、バブルまでは右肩上がりが前提でしたからね。

もうあんまり聞かなくなりましたけど、パラサイト・シングル論とか、ニート論とか、ああいう俗論が出現した背景には、世代間ギャップがあったと思いますね。つまり、バブル世代にとってみれば、自分の同世代には「自分のやりたいことを貫く」とか何とか言って、フリーターを選択した人たちがいたわけですね。年長世代が、そういうイメージを引きずったまま若年世代を観察すると、「自分探し」のモラトリアムだらけに見えたんでしょう。しかし実際は、就職したくてもできない人が大半で、山田昌弘氏なんかはこっそりと立場を変えましたね。結果、最近はパラサイト批判だのモラトリアム批判だのはすっかり姿を消しましたな。

ちょっと脈絡が違いますが、浅羽通明氏や大月隆寛氏の「おたく」批判も、80年代後半のパラサイト=モラトリアム現象(好景気による若年層の有閑階級化)と重なるところがあったから当時はよく読まれていましたが、「就職したくてもできない!」「ひとり暮らししたくてもできない!」と若者たちが叫ぶ時代に入ると、本当に限られた人種にしかあてはまらない話になってしまいましたね。まして今や「おたく」がジャパンクールで日本経済を牽引するなんて持ち上げられてるんだから、なんとも皮肉な展開であります。

ところで私は、告白すれば「サラリーマンで一生終わりたくない」と考えた方の人間でありまして、積極的にフリーターを選択し、もう40歳目前というところまで来ました。30代に入ってからようやっと自活できるようになりましたが、いったいつまでこの状態で稼げるものやら、不安を言い出せばキリがないですが、とにかく基礎体力をキープすることが課題であります。なにしろ職場が5ヶ所もありますので。

しかし、こんな年齢まで続けてしまうと、本当のところこれはもうフリーターとは言えず、個人事業主といった方がしっくり来ます。大手を回って仕事をとってくる下請けの零細企業とやっていることは同じですから、実態としては、フリーターというより、自営業という方がしっくり来るようになってきました。自営業ってのはじゃあ「サラリーマン」とは違うのか、と言えば、ぜんぜん違わない。というか、この世の中で生きていこうと思えば、誰しも「サラリーマン」としての最低限のスキルは持っていないと食っていけませんね。ビジネスマナーだって必要ですしね。

ここでひとつ世の中に提言できるのは、フリーターに滞留している労働力がいずれ社会のお荷物になると言われていて、早めに正社員として吸収しなければならないのだが、企業の側にそこまでの雇用を生む余裕がない、だったら介護や農業で吸収するか……なんて巷間語られているわけですけれど、例外的かもしれませんが、フリーターが成熟して、それまでやってきた仕事の延長線上で自営業者になるという選択肢も、なくはないはずですな。ただし、単純労働は「経年劣化」とでもいいましょうか、歳をとるほど仕事が減ってしまいますから、自営業者として自立できるような特殊なスキルを磨く努力は必要になりますが。あと、小規模といえどマネジメントも必要ですけれども。

そうすると、私なんかはもう就職したくてもできませんけど、やはり今もなお「サラリーマンは勘弁」と思っている理由は、仕事の中身に対する抵抗ではなくて、毎日毎日嫌な奴とも机を並べて働かなきゃいけないという、あのチームワークの圧迫感ですかね。日本企業特有の体育会的集団主義。あれがやっぱり、私には地獄に思えるから、会社って場所には入りたくないと思っちゃうんですな。ふだん仕事としてやっていることは、ぜんぜんサラリーマンと変わらないんだけど、その一点にはこだわってしまう。満員電車にも乗りたくないですし。将来不安と引き換えに、満員電車に乗らない人生を選択しているんですけど、皆さんはどちらがいいですか(笑)。