細川護煕元首相インタビュー


書いたばかりの政局論にばっちり対応する、細川護煕元首相インタビューを発見しました。

http://www.asahi.com/politics/update/0809/TKY200908080277.html

 

 ――官僚といえば、政権発足時、官僚トップの官房副長官には石原信雄さんを留任させましたね。

細川 政権交代が軌道に乗るまでという条件で留任していただきました。いまの民主党で心配するのは、官僚機構への敵対的な傾向が少し強く出過ぎていることです。われわれも官僚とは随分やりあったが、官僚機構を使いこなさないと政策の立案も実行もできない。政権は成り立たない。「官僚退治」は愚の骨頂だと思います。政権交代が常態化すれば官僚機構も当然、中立化します。石原さんの留任は唯一の継続性でした。政権交代はあくまで断絶が目的ですからね。

――断絶、ですか。

細川 断絶です。例えば核を搭載したアメリカの艦船が日本に入っていたという問題。アメリカは認めているのに、日本政府は認めない。そういうことは政権交代があれば、解決する話でしょう。道路建設にしても、過去の行きがかりと決別し、中止して福祉に回すこともできます。

 

「官僚退治」は愚の骨頂、という発言は傾聴に値しますね。日本のような学歴社会は、学力以外のものに依存しないフェアな人材選抜をおこなっているとも言えるわけで、もちろんそれはそれで硬直化するとまずいですが、今の民主党の「官僚退治」は、優秀な人材を国家中枢に集めるシステムを破壊し、「地方分権=道州制」へと移行させる意図を隠し持っているのでしょう。それがいいのか悪いのかは、これから考えていかねばなりません。

 

――中選挙区制はどうですか。

細川 私は万全の制度はないと思っています。どんな制度にだってプラスもあればマイナスもある。

私は選挙制度は一神教の小選挙区より多神論の中選挙区連記制がいいとずっと思っていました。日本人のメンタリティーからすれば、小選挙区で「白か黒か」「AかBか」という選択をし、敵対的な政治になるのは好ましくない。しかし、あの時点で実現可能な選挙制度としてあえて推進したのです。が、現状をみるに、小選挙区に張りついて選挙運動ばかりしている人、あるいは人気だけのタレントみたいな人が目立ちます。賢明な政治判断ができる立法府にはならない。中選挙区で「Aさんもいいけど、Bさんもいい」という選択、複数の名前を書けるほうが、日本的なよい政治になるのではないでしょうか。

 

この直前の箇所で、田中秀征氏が、小選挙区制・2大政党制だと大政党が烏合の衆になる、と発言しています。先に私が書いた「イデオロギー不在の政治状況」は、小選挙区制によって加速したと言えそうです。